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風本が主張する医療構造の未来像

風本が主張する医療構造の未来像

私が目指している医療構造改革の目標像は、医療機関群を3分割することです。生活困窮者に対する国営医療機関群、従来型の民間医療機関群、そして、「健康保険でカバーできない医療、カバーしてはいけない医療」を取り扱うメディカルサロン型医療機関群です。

国営医療機関群

まず、生活困窮者に対する診療のみを専門的に取り扱う医療機関群を創設します。この医療機関群は国営であるべきです。この医療機関を利用できるのは生活困窮者と認定された者、および特定の疾患患者に限りますが、利用時の会計は不要にします。つまり、赤字、黒字の概念は消滅した組織となり、警察や自衛隊と似た存在になります。特定の疾患患者とは、医療の世界には、医師側の都合で「治療効果を研究する使命上、この病気を持つ患者たちにはこんな検査や治療を施したい」という患者群が存在します。その患者群のことです。(もともと、その患者群に自費負担を強いること事態が、今の医療社会の矛盾点です)

なお、この国営病院は、治療方針の明確なポリシーを打ち出した救急医療も取り扱います。治療方針の明確なポリシーとは「治療選択に分かれ道があったときは、身体障害が残るが命は保てる、という治療よりも、完全回復か死か、という治療を選択します」などのことです。

民間医療機関群

生活困窮者、特定疾患患者を除いたすべての患者を民間病院が取り扱うことになります。ここには、自己負担困難な生活困窮者が除かれているという前提の下で、健康保険制度を改良して活かします。「高度機器を用いた検査は健康保険の適応外にする」「3種類目からの医薬品は全額自己負担にする」「ガンの治療は民間保険を大きく導入する」などの制度を設けますが、医師の技術料の保険点数設定を大幅に増額します。なお、予防医学に関する分野を極力、健康保険対象から外します。予防医学分野の医療は、健康教育が主体となりますので、メディカルサロン型医療機関の役割となります。つまり、病的状態で困っている人のみを民間病院で取り扱うということを基本とします。

メディカルサロン型医療機関群

予防医学分野やセカンドオピニオンなど、「健康保険でカバーできない医療」「健康保険でカバーしてはいけない医療」というものが生まれてきます。

以下のような内容のものです。

  1. 医療駆け込み寺としての機能
  2. 「自分の身体をこうしたい」という強い欲求を満たす機能
  3. 自分の将来の健康像を予想してもらい、先回り予防する機能

の3つです。これらを取り扱う医療機関群の模範にするつもりで、私は長年、メディカルサロンを築いてきましたので、この医療機関群の運営が「どうあるべきか」は、私の胸の中に納められています。

このメディカルサロン型医療機関群は、将来的には、健康保険を実施している民間医療機関に対する監視機能も発揮することになります。さらに、健康教育を実施する母体にもなり、そして、人生終末期の衰えた身体での生活に対するコンサルティング母体にもなります。また、治療に民間保険が導入されたときには、保険会社に対するコンサルティングの役割も担うことができます。介護に対する指揮母体としての機能も期待できます。
日本の医療社会を生活困窮者に対する国営医療機関、一般の民間医療機関、メディカルサロン型医療機関に3分類するのが、私が目指している医療構造改革の最も基本的な設計図です。この未来像に導いていく目的で、医療構造改革論議編を書き進めています。

【補足】

1)医療駆け込み寺としての機能

既存の医療サービスを受けている最中に、「腑に落ちない問題」「納得できない問題」「理解できない問題」が心の中に芽生えます。それを解決するための機能が「医療駆け込み寺」としての機能です。この機能を満たすのは、通常の医療社会で育った普通の医師では困難です。一般社会における人心、不安、裏構造、人間関係の表裏などを深く理解し、人生の波乱、組織運営の苦しみと喜びなどを自ら経験した医師でなければいけません。セカンドオピニオンという語が広まっていますが、安易に使うべき用語ではないと思っています。

2)「自分の身体をこうしたい」という強い欲求を満たす機能

病的な状態を訴えて、それを治療してもらうなら、一般の保険診療の病院に行けばいいです。しかし、自分が望む人生を実現するために、「自己の身体をこうしたい」という欲求が生まれます。美容外科などは、そんな欲求の一部を満たすものですが、もっと広く大きく、健康全体というものをテーマとしたときに、欲求ははるかに広がります。勃起力が云々や、毛髪が云々などというレベルではなく

  • 「一族に心筋梗塞で若死にする人がいる。私は若死にしないようにしたい」
  • 「両親が60歳を過ぎた頃からぼけだした。自分はぼけないようにしたい」
  • 「一族に胃ガンが目立つ。私は胃ガンにかかりたくない」
  • 「体重を○kgにフィットさせたい」
  • 「身長が低い。少しでも背を伸ばしたい」
  • 「学校の成績が上がらない。医師、医療の観点から、頭をよくする方法を教えてほしい」
  • 「精力の衰えを感じる。回復させたい」
  • 「前立腺ガンの手術後、勃起力を失った。回復させたい」
  • 「年とともに気力が衰えた。回復させたい」
  • 「力強い疲労回復威力を身につけたい」
  • 「薬ではなくサプリメントで治療したい」

など、底辺に大きく広がる欲求を持っています。その解決の糸口を与え、希望を持ってもらい、実現させていく喜びを授けるのは、まさに、メディカルサロン型クリニックの役割です。

3)自分の将来の健康像を予想してもらい、先回り予防する機能

健康管理学を深く研究する中で、「予想医学と先回り予防」という概念が発達しました。今の健康状態を不安に思う人は人間ドックに行きます。その人間ドックの機能をさらに進化させ、「占いのような観点」(やや不適切表現ですが、イメージがわきやすいのでこの表現を使いました)から、将来の健康像の予想を行い、先回りして予防するためのキーポイントをアドバイスしていく。その過程を家庭教師的なスタイルで実行し、健康管理の明確な指標を与えていく。それを実現するのもメディカルサロン型医療機関の役割です。

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