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月刊メディカルサロン「診断」

女性の人生の落とし穴と乗り切り方月刊メディカルサロン2003年10月号

男女の社会的成長度の逆転

20歳代の男女を比較すると、女性のほうが仕事ができます。
最前線に張り付いて、業務をこなしていく勇気や行動性は、この年代においては女性のほうが優れています。しかも、まじめさも女性のほうが上です。他者とのコミュニケーション能力も女性のほうが優れています。この年代では、男はまったくさえません。社会に出て、男女を同じ立場にしてヨーイドンでスタートすると、女性のほうがはるかに素晴らしいスタートダッシュをきるのです。その女性のピークは28~30歳です。最前線で業務をこなす能力はその頃に大きな山を迎えるのです。その後は、その仕事への飽きと体力的な衰えを自覚しはじめます。よほどの女性でないと、仕事能力は、落ちてきます。男は30歳台で何かに目覚め、急速な成長を遂げ始めます。仕事場においては、完全に逆転していきます。

女性の心をくすぐる戦法

さて、そういった意味で最前線で働く女性のピークが28~30歳であることを、社会は知っています。30歳を超えてさらに成長できなかった女性を組織内にはおいておきたくはありません(稀に素晴らしい成長を遂げる女性もいます)。
そこで、登場したのが人材派遣のシステムです。24、25歳の女性をメインターゲットとして、「キャリアアップ」という単語を用いて、派遣人材になることを煽っていきます。24~25歳の女性に、28~30歳に相当する報酬を準備します。そして、キャリアアップという語でその気にさせるのです。たいていの女性は、その報酬と単語に参ってしまいます。そのような手法で、人材派遣業界は大成長を遂げました。

ここに女性の人生の落とし穴が存在します。派遣で仕事をしつづけた場合、30歳を超えると突然、仕事が回ってこなくなるのです。そのとき、その女性は次のようにぼやいています。

「私は24、25歳でもあれだけの給料をもらっていたのよ。今はもっともらえるはずなのに、なぜかしら・・・」
「私は20歳代であの大企業の役員秘書をやっていたのよ。すごいキャリアをもった筈なのに、なぜかしら・・・」

「なぜかしら」ではありません。

その女性は、社会のシステムと作戦の前に、20歳代をおだてられながら、いいようにつかわれて、30歳代になって切り捨てられただけなのです。社会は甘くはないのです。20歳代の報酬が良かったために、結婚する気にもなりませんでした。独身のまま30歳を超えています。あと数年もすれば、妊娠・出産の限界も超えてしまいます。年齢的にみあう男性は、すでにほとんどが結婚しています。20歳代にちょっと仕事能力が優れていたために、人生のどんでん返しを食らっているのです。20歳代におだてられたことにより根付いたプライドを捨てることもできません。今の日本にはそれらを原点とする悩みを持つ女性があふれています。

謙虚さ、思いやりが現状打開の突破ロに

その女性は、その後どのような人生を歩めばいいのでしょうか。私が思うーつの案は、「余計なプライドは忘れ、思いやりを大切にして、人に慕われる人、人を使える人へと成長する」です。余計なプライドがある限り、人はついてきてくれません。焦りを捨てて、謙虚さをとりもどし、「思いやり」を大切にすることです。そこに突破口があるような気がしています。

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