月刊メディカルサロン「診断」
今年は予防医学を充実させる月刊メディカルサロン2004年1月号
予想できる病気、計画できる身体改良
「とにかく90歳まで生き抜く」しかも、「運良く生き抜いた」というのではなく、「理屈に基づいて、確実に生き抜いた」ようにするにはどうしたらよいのでしょうか?
答えは簡単です。「90歳までに死ぬような病気にかからない」ことです。では、あなたがもし90歳までに死ぬとしたらどのような病気でしょうか?これが意外に少ししかありません。列挙してみましょう。
心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、胃ガン、肺ガン、肝臓ガン、大腸ガン、膵臓ガン、...これらの9つが大半です。(女性なら子宮ガン、乳ガンが加わります。)90歳までに死んでしまう人の90%は、これら9つの病気のどれかなのです。つまり、90歳まで確実に生き抜くための必要条件は、これら9つの病気にかからないようにすることになるのです。
あなたの今の身体状態ならこれら9つのうち、どの病気にかかる確率が高いのでしょうか?それを予想できればすばらしいことだと思いませんか。予想できたら、その病気のリスクを下げるための身体改良の計画を立てることができるのです。
死を招く病気に先手を打つ学問
たとえば、あなたは胃ガンにかかるでしょうか?これを予想するのは簡単です。まずピロリ菌がいれば、あなたの胃ガン発症率はいない人の6倍になっています。これはよく命中します。
除菌すれば、胃ガン発症率は1/3に低下します。あなたの身体にピロリ菌はいないでしょうか?あなたは大腸ガンにかかるでしょうか?もともとの日本人には大腸ガンは少なかったのですが、アメリカ西海岸に移住した日系2世、3世の大腸ガン発症率は世界一なのです。食生活の欧米化に伴い、日本人の身体はどのように変化したのでしょうか?あなたの身体は食生活欧米化の影響を受けているのでしょうか。
あなたは心筋梗塞にかかるでしょうか?これを予想するのは簡単です。あなたの身体がEPA(エイコサペンタエン酸)体質か、AA(アラキドン酸)体質かを調べればいいのです。この体質の違いにより、心筋梗塞発症率は10倍以上変化します。
あなたはくも膜下出血にかかるでしょうか?くも膜下出血の原因は能動脈瘤の破裂とはっきりしています。予想するのは簡単です。あなたの免疫力は強いのでしょうか?人体には1日に約3000個のガン細胞が芽生えています。それを撃退するのがガン免疫です。ストレス、過労、深酒、睡眠不足は、この免疫力を低下させます。先天的に免疫力の強い人もいますし、弱い人もいます。自己の免疫力を知っておけば、健康管理の方針は容易に定まります。
さまざまな医学データを集積し、身体を調べて確率論に基づく予想医学問化して活用して、科学的に健康管理をすすめていく。そんなノウハウが、メディカルサロンには蓄積されてきました。今年は、それらをさらに学問的に充実させていく1年にするつもりです。