月刊メディカルサロン「診断」
夜に学ぶものは成長し、夜に遊ぶものは廃れていく月刊メディカルサロン2004年3月号
競争社会を意識して勉強した青春時代
私がまだ高校生の17歳のときです。「えっ、今、勉強しているの?」私に電話をかけてきた友達のTはびっくりしていました。その日は、学校の行事としての修学旅行から帰ってきた日です。
実は、私は友達の皆が羽をのばしているだろうな、と思えるときに勉強するのが好きだったのです。
自分が遊びたいときは、他人も必ず遊びたいと思っている。そんなときに遊ばずに勉強すれば大きく差をつけることができる。本能的にそれを感じ、実行していた私は、競争心のきわめて高い青春時代を送っていたのかもしれません。おかげで、実績で証明できる桁外れの学力を身につけることができました。
格闘技に関する書物を読んでいて、次のような一説を見つけたことがあります。
「自分も苦しいときは、敵も苦しんでいる。その極限状態で、一歩前進したほうが勝利を収めることができる」
1対1の格闘技の世界における、実にわかりやすい心得だと思います。
人は生まれながらにして不公平であるといわれています。白人の子として生まれる人もいれば、黒人の子として生まれる人もいます。アメリカの大都会に生まれる人もいれば、アフリカの草原で生まれる人もいます。まさに不公平の極みです。
社会で自分が抜きん出るために
しかし、すべての人に公平に与えられたものがあります。それが時間です。長生きできる人もいれば、早死にする人もいますが、幼年時代から、青春時代、壮年時代を通じて基本的に、時間は公平に与えられています。
「すべての人に与えられた、たった一つの公平なもの。それが時間です」
実はそのようなことはほとんどの人が知っています。そんな話をスピーチでする人は大勢います。そのスピーチ家が、結婚式の披露宴で次のようにスピーチする姿があります。
「新婦には、新郎が心の底からくつろげる家庭を築いて・・・」実はこれは大変な矛盾話です。
社会情勢が変化して、勝ち組、負け組がはっきりと分かれる時代になっています。「同窓生、皆横並び」の時代ではなくなっています。大競争時代なのです。自ら成長したものが勝ち組になれる時代です。
人はいつ成長するのでしょうか。実は、夜に成長するのです。日中は目の前の仕事とこなすために動き回っています。この時間帯は経験をつむことはできても、頭の中の体系整理は困難な時間帯です。それらを整理し関連事象を調べて夜に学ぶものは成長するのです。できる人間は、一晩過ぎて成長しているのです。上司から「あれっ、いつの間に・・・」という気分にさせられるのです。逆に夜に遊んでいるものは、いつまでも、もたもたとして成長しないのです。
現代の結婚式のスピーチでは、「新婦は、新郎が家に帰ってきてうかつにくつろいでいようものなら、叱咤激励して・・・」と話すのが正解なのかもしれません。