月刊メディカルサロン「診断」
自由診療の本質月刊メディカルサロン2007年2月号
メディカルサロンを創業して以来、「医師と会員の友誼関係」の重要性を訴え、「会員の要望を満たす」という目的に特化して医療を再編成しているうちに、メディカルサロンそのものが変貌してきたように思います。
創業当初は、「とにかく無念の若死にをなくす」「油断と隙による不慮の死をなくす」「重大な健康トラブルを起こさないようにする」「早期発見につとめる」ということに集中していました。予防医学の権化となっていたのです。
それを続けるうちに、求められているものは、ただの予防医学ではないことに気づいてきました。「活力ある自分」「疲れを感じない自分」「意欲的に動き回れる自分」でありたい、という願いがひしひしと伝わってくるのです。思い起こせば、日本の医療体系は、それを満たす医療はありません。「疲れやすいのです」と訴えて大学病院を受診しても、明らかな病気が見つからなければ、「異常なしです」といわれて放置されてしまいます。だから、疲れやすいのを何とかしたいと思う人は、栄養ドリンクなどに志向していきます。その状況を医師の見地から何とかしなければいけないと思い、新たな取り組みを始めました。
次には、「自信を持てる自分」「自己満足に浸れる自分」をつくりたい、という願いを感じるようになりました。自己満足が重要な癒しになっている人が多いのです。自己満足を提供する医療は、容姿管理へと集約されていきます。かっこよく、あるいは美しく見えている自分に喜びを感じ、それが癒しとなるのです。
診療を介して知的欲求を満たすことの重要さにも気づきました。向上したいという願いは、知的欲求へと置き換えられますが、人体や健康に対する知的欲求が高まっているのです。自分のことなのに未知であった人体というものへの知的欲求が高まるのは、ある意味で本能的、自然の流れと言うものでしょう。
自己満足、知的欲求を充足させることを1つのテーマとして、「背を伸ばす医療」が誕生し実践され始めました。そして、子供に対する会話の中で、人生指針に関する相談を受ける機会が増えてきました。子供たちには、医師として活動する私から教わりたいことがたくさんあるようです。そういえば、最近の子供たちが接する「働く人」は、「学校の教師だけ」になっているのかもしれません。私への相談が増えるというのは、学校の教師が、あるいは学校教育が、本来果たすべき役割を果たしきれていないことを意味しているようにも思えます。
最近の私の目には自由診療の本質がみえてきました。診療を介して、意欲と勇気、自己満足と自信、安心とゆとり、癒しと疲労回復、健康学習と知的充足、夫婦仲の修復、親子仲の修復、子供の人生指針を与えていくこと。それらが、自由診療の本領です。