月刊メディカルサロン「診断」
週に3回のゴルフで気づいたこと月刊メディカルサロン2010年5月号
「健康と運動のかかわり」は奥が深いです。「運動は健康にいい」と単純に決め付けていいものではありません。プロスポーツ選手の平均寿命は決して長くはないですし、50~60歳代で一生懸命ウォーキングに取り組んだ人は、70歳代で「膝が痛い」と言い出します。
ならば、身体を動かさないほうが健康にいいのかといえば、そんなはずもありません。健康によい運動とは、どれくらいの量の運動をどれくらいのペースで行うかが焦点になります。
そこで、私は自らの体験として、毎週3日連続(日、月、火)のゴルフラウンドに取り組み、自分の身体の変化を観察しています。その結果、きわめて示唆的な多くの事実に気づきました。今回は、それを2点に絞ってお話します。
1)ぐっすり眠れるようになる
年をとると睡眠時間が短くなってきます。夜中に目を覚ますこともしばしばです。「年をとったから仕方がないのだ」と私も思っていました。そう思っている人はたくさんいることでしょう。しかし、週に3回ラウンドすると、毎日驚くほどぐっすりと眠れるようになります。寝つきがよくなるのはもちろん、1日の睡眠時間も学生時代のように長くなってきます。週に1回程度のゴルフだと、ゴルフをした日だけよく眠れるという感じでしたが、週に3回ラウンドすると、ゴルフをしない日も含めて毎日が実によく眠れるようになります。
人は、高度の知的活動を行いますが、もともとは動物の一種です。本来の睡眠の目的は筋肉を休めることですから、「睡眠により脳内疲労はとれるが、脳内疲労を取るために睡眠をとっているわけではなかったのだ!」ということに気づきます。つまり、「筋肉の疲労を取るために睡眠をとり、そのついでに脳内疲労が回復する」ということだったのです。ストレスで脳内が疲れたから眠って疲れを取ろうと思っても、いい眠りをとれない人が大半です。それは、このような事情だったのです。
「よく眠れない」という人は思い切って大量の運動に取り組んでください。朝1時間散歩している程度では全然足りません。週に3~4回スポーツクラブに通っている、という程度でも全然足りません。思い起こせば、学生時代は体育の時間だけで週に3~4回はありました。それに加えて部活動までありました。あの時代に迫るほどの運動を行ってみるのです。睡眠に関しては、驚くほど改善されます。
ストレスの多い社会ですので、日ごろ、脳内疲労はたまりやすくなっています。頭が疲れれば疲れるほど、運動しなければならなかったのです。
2)体重が減る上に、食べる量が減ってくる
週に1~2回のラウンドするぐらいでは、体重が減るという実感はありませんでした。しかし、週に3回ラウンドすると体重が減ってくるという実感があります。もちろん、相当食べても体重が増えないという実感もあります。
そして、もう一つ面白い事に気づきました。
週に1日ぐらいのラウンドだと、そのラウンド後に異常に食欲が高まることがしばしばありましたが、中途半端レベルを超え、毎週3日連続のラウンドを行ったら、驚いたことに食べる量が減ってきたのです。少なくとも、目いっぱい食べたいと思うことはなくなりました。不思議な効果です。医学的な理屈をつけようと思えばつけられますが、これは実体験するのが一番いいです。
「中途半端なレベルを超えると、運動量は増やせば増やすほど、たくさん食べたいという思いはなくなってくる」
これは一つの健康管理の公式として、取り入れようと思うにいたりました。