月刊メディカルサロン「診断」
「晩年、どうあるべきか?」と「クラブライフ」月刊メディカルサロン2010年11月号
「会員との良好な人間関係を築き、予防医学を駆使して会員の健康を守る」という標榜の下でメディカルサロンを創業して18年が経過しました。紆余曲折を思い起こすと万感の思いがありますが、そんな感傷に耽るほど私は老いていません。まだ、若い47歳です。
創業時50歳代だった会員の方たちは、70歳代になっています。会員の皆さんとの多くのコミュニケーションの中で、必然的に「人生の晩年、どうあるべきか」が話題として増えてきました。身体が不自由になった最晩年の介護問題などではなく、この先の人生の生き方というか、楽しみ方というか、生きがいというか、そういう意味での晩年の話題です。
晩年を楽しむための必要条件は4つあります。壮年期から一生懸命に仕事をしてきた人は、その4つを手に入れるために頑張ってきたはず、といっても過言ではないでしょう。今回は、その4つについて語ります。
「お金の不安、不足がない」
第一は「お金の不安、不足がない」です。リタイア後の収入の確保については、若いころから考えておく必要があります。無為無策だと後悔します。貯蓄が必要なのは言うまでもありません。公的年金だけに頼るのも一つですし、不動産収入や配当収入などの不労所得を確保しておくのも一つの道です。どちらにしても、壮年期にはわき目もふらず仕事をしなければいけません。
住宅購入や事業資金のために借金がある場合は、できるだけ早く完済すべきです。「借金が残っている」や「連帯保証が残っている」は、重大な不安要素となります。「晩年」を迎えるまでに、お金の不安がない自分を作らなければいけません。自ら起業した人は「連帯保証」からの脱却が至難になりますが、何とかしたいものです。
「熱中するものがある」
第二は「熱中するものがある」です。スポーツ観戦や観劇などは「趣味を持つ」という点では同じですが、身体機能の維持を考えると身体を動かすスポーツなどに熱中してほしいものです。ダンスでももちろん構いません。
万が一の病気になったとき、熱中するものがある人は早く回復します。肺ガンで手術し、その直後に食道がんで手術、さらには咽頭ガンで放射線療法に取り組み、それでもまだ不屈の闘志で元気に生活しているという人を知っていますが、その人はゴルフに熱中しています。「なんとしてでもゴルフを再開したい」という執念を燃やして回復してきたのです。
そういえば、熱中するものがない人は、ガンなどにかかるとすぐに死んでいきます。定年退職直後のサラリーマンで生きがいを失っている人がガンにかかるとあっけないものです。
「私は仕事に熱中している、生涯仕事一筋だ」という人もいますが、病気回復の力にはならないようです。「仕事を再開したい」という思いで闘病に勝利を収めた人はまずいません。できれば、仕事以外の何かに熱中してほしいものです。
スポーツではゴルフに熱中している人が多いようです。私もいろいろなスポーツを分析しましたが、この場合のターゲットとしてはゴルフがもっとも理に合うように思います。
「仲間がいる」
第三は「仲間がいる」です。学生時代と違い社会人になると、「自己が所属する会社の利益」を第一義に考えなければいけなくなります。その期間にできた仲間は、本当の仲間ではありません。壮年期には苦し紛れに見栄を張らざるを得ない時代もあります。その時代にできた仲間も本当の仲間ではありません。
「清酒高談、友を得ず」という原則の中で、仲間=友が形成されていきます。社会人になったあとの現実としては、生涯を支える金銭面の余裕が生まれてから、同じものに熱中している者同士で仲間が形成されます。
ここまでの条件「金銭に不安のない者たちが同じものに熱中して仲間を形成する」が、行き着く先は「クラブライフ」です。この「クラブライフ」は、今後日本社会のキーワードになっていきますので皆さんの身の回りで論じられる機会が増えていくことでしょう。
日本における成功者の志向性が、銀座などの飲食文化からクラブライフという文化へと変化していくのは間違いありません。
「健康で、五体満足である」
第四の条件は「健康で、五体満足である」です。これは言うまでもないでしょう。これら4つを満たしてこそ、晩年を心豊かに過ごすことができるのです。
私は健康を守る手法論に関して広範囲に論じることができますので、私自身が主導してそのクラブを形成していくべきだと思うに至っています。最近、ゴルフを特訓していますが、これは「ゴルフを題材として、健康を守る仕組みを備えたクラブ作りに取り組もう」という思いが背景にあるからです。
そのクラブライフを基盤として集まった人間集団が、「日本の将来を背負って立とうとする気概を持つ若者を育成する母体」にもなれば、さらに素晴らしいことだと思います。