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月刊メディカルサロン「診断」

マイ・カルテ誕生月刊メディカルサロン2001年3月号

優れた医療サービスとはどのようなものでしょうか。3時間待ちの3分診療、説明不足、薬づけ、検査づけ、医療スタッフの傲慢な態度など、医療サービスについては確かに悪評が多いようです。では、だからといって、「患者様はお客様です」と割り切って語る病院がいいのでしょうか。

「医療は患者が中心だ」と高名な医師は語ります。まさにその一言が大切です。あらゆる意味で患者を中心として医療が展開されるべきです。現状では患者が中心になっているといえるのでしょうか。
「中心になる」ということは、主導権を持つということです。つまり、医療の過程におけるあらゆる選択権が、患者に帰するということなのです。現在の医療スタイルにおいて、患者に選択権はありません。「説明と同意」を意味する「インフォームドコンセント」の重要性が叫ばれて久しくなりましたが、まだまだ体裁を繕っているだけと言えるでしょう。

医療サービスの改善を要求する声が日増しに高まってきています。しかし、20世紀を終了した時点では、改善の声の高まりもむなしく、担当医に「お願いして、親切さを要求している」だけに過ぎません。主導権は医師ががっちりと握っています。患者と医師が正々堂々と対等の立場にはなっていません。
なぜ、患者に主導権が移らないのでしょうか。主導権移転の急所はないのでしょうか。私は熟慮しました。その結果、主導権が医師の手元から離れないのは、患者の身体に関する情報を医療機関のみが保持する「カルテ」だけに収められていることが原因の源流である、と判断したのです。
あなたの身体の状態、検査結果、投与した薬、その薬の効果など、今までの治療経過に関するあらゆるデータが担当医の手元にのみ掌握されているのです。その状態では、いつまでたっても主導権は医師の手元から離れることはありません。

カルテ開示の必要性が高まっていますが、医療機関側はいろいろな理由を挙げてカルテ開示に応じようとしません。だからと言って、患者側から強行的にカルテ開示をお願いする、というのも間違っています。これには、実際に「患者のため」を考えている深いわけもあるのです。
もめごとにならず、自然に、スムーズに主導権を患者に移し、医療スタイルを改善していくいい方法はないでしょうか。

すべてを解決する手法が、ここに誕生しました。文庫本として制作された「マイカルテ」の創作です。あなたの健康に関するデータのすべてを書き込んでください。人間ドックを受診したときは、その結果を具体的に書き込みましょう。風邪をひいて近所の病院に行ったときは、担当医に本書を差し出して、病名、処方された薬名を記載してもらいましょう。検査を受けたときは、その結果を漏らさずに記載してもらいましょう。診察室では、必ず医師に本書を差し出して、検査結果と病名、薬名を記載してもらうのです。あなたのカラダに関するあらゆる情報が、本書の中に記録されていきます。

このマイカルテを持っていれば、あなたが突然どこの病院に行っても、同じ内容の医療を継続して受けることができるようになります。眼前の担当医の治療方針が納得できなければ、本書を持って他の医療機関を受診すればいいのです。マイカルテをなかだちとして治療方針について、どうどうと意見を交わすことができるようになるのです。受けようとする治療の選択権は、医師から患者に移り、患者は主導権を獲得することができるのです。多くの高名医師が口にする「患者中心の医療」がはじめて展開されるようになるのです。その結果、信用できる医師とあなたとで二人三脚の理想的な医療が築かれるのです。はじめは、医療機関、医師会も戸惑うことと思いますが、最終的には医療そのものを成長させることができるのです。

これからのメディカルサロンは、マイカルテを中心にすえて、医療体制の改善に乗り出していきます。マイカルテの誕生をきっかけとして、医療サービスの充実が急速に進歩することを期待いたします。

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