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月刊メディカルサロン「診断」

入院月刊メディカルサロン2001年7月号

「入院が必要です」

たいていの人は、ある日突然医師からそのように宣告されます。病気になったときはたいていそのようなものです。考えてみると、人はいつか必ず死ぬのです。自宅や外出中に心筋梗塞などの急病や不慮の事故で突然死んでしまう場合もありますが、そうでなければ、入院をすすめられるような病気になって、治療を繰り返した後に、死んでいくことになるのです。
だからといって、日ごろから、そのようなことが突然起こる日を恐れてびくびくしていてはいけません。そんな不安は、生活の楽しみを奪うだけですので、深く腹をくくって、日ごろは楽観的に生活しているのが幸せです。

さて、ここで「入院が必要です」といわれたときにどのように対処するべきかをよく考えてみましょう。「わかりました。すべてお任せします」と即答するのも一つの方法です。昔はほとんどの患者がそのように答えていました。しかし、情報公開の流れが進み、患者側の知識が向上した結果、盲目的に「すべてお任せします」と答えることに抵抗を感じる場合が多くなりました。

いろいろな治療方法があります。病院側が提示した治療がベストなのかどうかに疑問を感じることもあります。「あの病院は、○○治療は優れているけれど、○○の治療はダメらしい」という噂を聞いたりします。また、社会的地位を考慮し、自分が治療を受けるのにふさわしい病院はどこかを考慮する人もいます。どこの病院でも同じというわけではないのです。一方では、もっと根本的に「本当に自分は入院が必要なのだろうか」と疑問を感じる人もいます。入院をすすめられたときには、なんの症状も自覚していないという人も多いのですから、そう感じるのももっともです。

病院側が提供しようとする治療にも個性が現れます。いろいろな思惑も絡みます。

「若手医師のあの手術に対する技術を教育しなければいけない。少々の無理があっても、あの手術を推奨する方針でいこう」「もう80歳か。なら、死んでも文句はいわれないだろう。あの治療をこの年齢の人に行ったら、どのような成果があるのか試してみたかった」「投入した設備の利用状況が思わしくない。回転率を高めるために、あのタイプの病気の人にはこの治療をどんどんすすめていこう」「学界的に、あの治療が流行している。当病院ではあの治療の技術は未熟だけれど、風潮に乗り遅れないように実績を積まなければ…」「この治療で有名な我が病院では失敗は許されない。しかし、今はスタッフが足りない。困ったものだ」

病院側の腹の中には、そのような事情が存在しないわけではありません。先日も、ある相談がありました。「胆石があります。今なら腹腔鏡下の手術で4~5日の入院で簡単に胆のうを取ってしまえます。お腹に穴を少しあけるだけですから、心配ありません」と気軽に入院手術をすすめられて、その結果は、手術失敗による長期入院、数度の開腹手術になってしまいました。「なんの症状もなく平和に生活していたのに、なぜこんなことになってしまったのだろう」という後悔のやり場もありません。その後の相談内容は想像のとおりです。

月刊メディカルサロンの購読者の皆さんには、「もし入院をすすめられたときには、とりあえずメディカルサロンの医師に相談できる」というサービスを設けることにしました。1度の入院を最大に活用できるように、ケースバイケースの対応の仕方を一緒に検討するようにしましょう。

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