月刊メディカルサロン「診断」
社内全員の健康管理月刊メディカルサロン2001年10月号
社員の健康を守るための法律―労働安全衛生法―があります。それによると常時50人以上の従業員を有する事業所では、産業医の設置を義務付けています。それに応じて、近所の診療所の医師に産業医を依頼している中小の企業がたくさんあります。また、大企業においては医務室を設け、大学病院から派遣される医師を常勤させています。
しかし、現実上、産業医や医務室は厚生労働省に提出する書類に捺印するぐらいの役割しか担っておらず、社員の健康管理を指導する母体としての実質的な役割を演じていません。その現状を私は憂えています。
もともと普通の医師というのは、病気を治療することに関してはプロですが、健康維持・増進の指導に関しては素人に過ぎません。ためしに、近所の医師に「私は今、55歳でぴんぴん元気にしています。これからも元気に過ごして、100歳を超えるまで若々しく最前線で頑張りたいと思っています。どうしたらいいですか」と尋ねてみて下さい。せいぜい「1年に1回、人間ドックに行ってください」という程度の返事しかもらえないことでしょう。
法人組織を構成するのはまさに人です。社内の重要な分野を担当している人もいれば、会社の将来の繁栄を担っている人もいます。大切な社員が突然、脳梗塞や心筋梗塞で、戦線を離脱してしまう、などという事態は考えたくないものです。会社を構成する全スタッフの健康を守るために独自の仕組みを設け、成長させていきたいと、メディカルサロンは願っています。