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患者と医療機関従事者(医師、看護師、事務員、その他)とが接する現場の改革

5.自己主体型治療プログラム月刊メディカルサロン2008年6月号

自由診療においては、費用負担が関与するのであらゆるところに「合意と了承」が存在します。医師側からの一方通告的医療は決して行えません。保険診療との決定的な違いです。
この「合意と了承」に、健康教育が加味されると、治療の主導権を医師から患者へと移行することが可能になります。この「主導権を移行する医療スタイル」は、メディカルサロンのダイエット医療を舞台として研究され、進化しました。

私はこれまで、「朝だけダイエット」「クロムダイエット」などを開発してきましたが、それらのベースとなったのは、医療用の食欲抑制剤であるマジンドールを利用するダイエットでした。
マジンドールダイエットに併用する題材として「朝だけダイエット」などは開発されてきたのです。医師が頻回に指導しながらマジンドールを利用すると、体重は驚くほど減少します。しかし、必ずといっていいほど「半返しリバウンド」が起こります。医師主導下のダイエット指導で10kg落としても、その後の数ヶ月で5kgほど戻ってしまうのです。それでも結局は5kgほど減量できているのですが、患者本人の意識の中には10kg落ちたときのことが忘れられません。そこで、またマジンドールを利用しようと考えてしまいます。医師の主導の下で10kg落とせても、それは偽の減量なのです。医師のチェック、指導が厳しく入って体重を落としても、それは自然生活で維持できる体重ではないということです。これは患者本人の将来の健康問題を考えると、決してプラスであったとはいえません。
そこで考えたのが、「医師主導」の枠をはずし、「自己主体型」という手法を採用することでした。これは、初回診療時にマジンドールの使い方や今後のダイエット指針をしっかりと教育し、医師の診察、指導はやむを得ないときのみに限り、「自己工夫と自己努力で落とせる体重」までを真実の維持可能体重とみなし、その維持可能体重までのダイエットにとどめることにするという治療プログラムです。
患者は自己の治療方針に対し、選択権を有しており、医師との合意と了承の上で、この治療プログラムを実施していきます。また、この治療プログラムは、患者の費用負担を最小にできるという効果も兼ねています。

メディカルサロンが誇る身体情報収集システムのもとで、小分け処方システムを組み合わせ、マジンドールを服用したりしなかったりを自己の工夫で実施し、自己主体的にマジンドールダイエットを遂行してもらいます。もちろん、医師と患者の合意と了承の上でこのプログラムは遂行され、医師にはいつでも相談できるようになっていますが、自己主体型の治療プログラムとはいえ、担当医の方針、思惑を逸脱するような患者がいたらすぐに呼び出して受診してもらうことになります。
「医薬品は嫌うものでもなく、頼るものでもなく、その性質、効能をよく把握して、自己の生活を豊かにするために上手に利用するものである」という私の信条がこのプログラムには織り込まれているのです。

この治療プログラムの選択は、医師の裁量下で行われたのですから、その患者の医薬品利用状況に対しては、担当医が責任を負うことになります。長期連用や乱用がないかなどの患者の医薬品利用状況を完全に把握していなければいけません。
患者と頻繁に連絡を取り合うメディカルサロンの患者身体情報収集システムは、患者の状況を常時把握することができますので、この治療プログラムの採択が可能になりました。主体的努力を限界的に引き出すことに主眼をおいているこのプログラムの基本構想は、改良を重ねてダイエット医療の核になっていくと思います。

近い将来に、メタボリックシンドロームの治療に対して、この診療スタイルが採用される日が来ることでしょう。しかし、医師が見守る中で、自己主体型に医薬品(マジンドール)を利用することに対し、行政側からは「このシステムでのマジンドール投薬は、担当医が処方したものとはいえないのではないか」という腑に落ちないクレームをつけられました。

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