月刊メディカルサロン「診断」
予防医学としてのエステティック月刊メディカルサロン2004年2月号
健康管理としての、見た目の若々しさを追求する
メディカルサロンは予防医学と健康教育に徹しています。それなのになぜか、エステ系メディカルサロンというものが存在します。平成10年には「エステティック高山メディカルサロン」を開設し、昨年は、「エステティック六本木メディカルサロン」を開設しました。予防医学、健康教育とエステティック、いったいどのようなつながりがあるのでしょうか?
私は、メディカルサロンを創業した平成4年のころから、健康管理というものの定義を求めていました。それが具体化してきたのが平成8年ごろです。
「健康管理には、目標設定が必要だ。その目標を・・・90歳を超えても頭脳明晰で自分の足でどこにでもいけて体調絶好調。見た目の姿は若々しい、50歳に見える・・・に設定するべきだ。その目標を達成するために取り組むのが健康管理だ。それを達成するために治療に偏っている現在の医学を再編成していこう。」と悟ったのです。
90歳を越えるまで生き抜いてもらう、つまり「寿命管理」は確率論で語ることができます。体調絶好調には、病気の治療学一辺倒の考え方から離れたらさまざまなノウハウがあるのです。ところが、見た目の姿を若々しくするにはどうしたらいいのかが、どうしても難しかったのです。つまり、従来の医学にはないものでした。
「この分野を成長させていくためのきっかけを何かつかまなければいけない」
そう思ったのが、平成10年のエステティック高山メディカルサロンの開設につながりました。
「身体の中からの肌管理」は新しい概念だった
従来の「若々しい姿」というものは肌の状態へと集中していました。したがって、皮膚科の担当分野だったのです。そこに内科である私が参入しました。そこで、まず驚いたのは皮膚科も患者も外から塗ることばかり考えているという点でした。食事指導はほとんど存在しませんでした。塗って何かするという発想は、いかにも皮膚科的ですが、その手法が肌管理のすべてにいきわたっています。それではいけないと思い、私は「身体の中からの美肌作り」を研究することにしました。
皮膚といえどもひとつの臓器です。心臓や肝臓と同じ臓器なのです。心臓や肝臓の状態が悪いときに何かを塗って治そうとはしません。皮膚の調子が悪いなら、まず中からの改善を考えるべきなのです。そこにいたって、本来の皮膚科領域に「身体の中からの肌管理」という新しい概念を導入することができました。この分野に関して私は、まさにパイオニアです。その内容は、私の著作「お医者さんが考えた一週間スキンケア」(三笠書房)で語られています。
さて、90歳のしわくちゃのおばあさんを見たとしましょう。その人を50歳くらいに見えるようにしようと思ったらどうしたらいいでしょうか?美容外科的な手術を行わない限りまず無理でしょう。美容外科的手術、つまり治療学です。「治療」という概念でないと、50歳の姿をつくれません。
「治療」は私の究極目的ではありません。私は、予防医学に徹しています(それと健康教育)。となると、肌の管理に関しても、今の50歳の人をそのままの姿で90歳を迎えられるようにすること、今の30歳の人をそのままの姿で50歳を迎えられるようにすることが、予防医学的観点からの本来の取り組みになります。
黙ってみているだけでは、それらは達成できません。何か手を加えなければいけません。ところがそのノウハウは、医学の中には成長しておらず、エステティックの中にほのかに光明が見出せるのです。
つまり、私がイメージするエステティックは予防医学なのです。その旗幟を鮮明にし、私自身の課題を明らかにするために、エステティック六本木メディカルサロンを開設し、私の手元で若々しい姿作りの研究と指導に取り組むことにしたのです。