月刊メディカルサロン「診断」
「Alla Salute」の情報と意義月刊メディカルサロン1996年7月
最近、マスコミ関係者からの取材を受ける機会がずいぶん多くなってきました。でも、不思議と取材依頼が来るのは、サンデー毎日やFRAUなどもともとは健康をメインテーマとする雑誌ではないのです。巷には「壮快」「回復」など健康関係の雑誌がたくさん刊行されているにもかかわらず・・・。
「なぜ健康をメインとしている雑誌からは取材依頼がこないのかな。」という疑問が必然的に湧いてきます。
最近、マスコミのその方面に詳しいある人とお知り合いになりました。そして、その人から、その疑問に対する答えを得たのです。
「あの様な『健康』を銘打っている雑誌は何かの商品販売が目的なのです。もっともらしく、どこどこの教授とか、どこどこの名誉院長などを登場させて、健康のお話しをさせていますが、その裏側では健康関連商品の会社がスポンサーになっていて、かならず健康食品などの販売をくっつけているのです。スポンサーがページを購入して、商品販売に結びつけるための情報を話してくれる医師を選び、編集されているのです。風本先生が健康食品会社と結びつかなければ、あの類の雑誌社は取材にきたりはしませんよ。」
「なるほどなー。」と思いました。そういえば、確かに登場しているお偉い筈の人たちのコメントは、途中経過までは医学的にもっともな内容なのですが、話の最後の部分になるとなんとなく医学的根拠があやふやになってきます。そして、「○○さんの体験談」というものが必ずくっつき、結論は「だから○○社の○○が健康にいい」というふうになるのです。
健康に関しては完全無欠な、医学的根拠の明確な情報でなければなりません。商品販売を目的とするのではなく、情報提供だけを純粋な目標にしなければなりません。商品販売を目的とするとさまざまな好ましくないケースが生まれてしまうでしょう。
本誌に健康食品などの宣伝広告を載せるつもりは一切ありません。宣伝費を得られるとなると、その宣伝内容を応援する情報しかお届けできなくなってしまうからです。本会報誌の情報の医学的正当性については、念には念を入れています。
思い出してみて下さい。平成5~7年の頃は、どの健康情報誌も「ベータカロチンは癌予防に有効」といっせいに述べていたのです。それこそ有名な○○教授や○○博士のコメント付でです。そんな中で平成7年に完成した私の著作「一億人の新健康管理バイブル」だけは、「ベータカロチンには賛否両論ある」と記していたのですよ。私の著作に1年遅れた平成8年になって、ようやくベータカロチンの有効性に疑問を差し挟む記事が,いろいろな新聞や雑誌にみられるようになりました。
健康を真剣に考える人は商品販売のために作成された情報に踊らされてはいけません。医学的根拠の明確な正しい情報を求めて下さい。手前みそかもしれませんが「正しい医学的根拠にある健康管理学の普及・啓蒙」に適う情報提供誌として、本会報誌は重宝するに値するものと思います。
※「Alla Salute」は2000年10月号より「月刊メディカルサロン」に誌名変更しました。